声帯切除術 耳道切開術 がありました。

この1〜2週間は、少し変わった手術がありました。

 

1件目は、慢性の外耳道炎で通院している若猫ですが、外耳道深部に小腫瘤がありました。それが炎症を起こして猫にストレスを与えています。内服と外用で様子を見ていましたが、一向に治らないので外科処置をすることになりました。小腫瘤を切除し、同時に外耳道切開をして通気を良くします。細く硬い耳道の切開はなかなか厄介で、さらに深い部分の腫瘤に十分にアプローチできません。四苦八苦して切除した腫瘤を病理検査に送ります。もし、これが悪性のものなら最悪再手術で全耳道切除しなければらないかも知れません。しかし幸い帰って来た結果では良性ポリープだったので、とりあえず一安心です。十分な期間をおいて抜糸して様子を見ます。彼(猫)のストレスが軽減されることを願います。

 

2件目は、最近珍しい中型犬の声帯切除でした。犬の鳴くのはしつけの問題とか動物愛護の観点からも、少し引っかかる人もいるかもしれません。しかしこれも場合によります。事情で途中から引き取った成犬で、今の生活環境に必要なしつけを受けてこなかったこと、一軒家と異なり集合住宅等では室内でいても鳴き声が通りやすいこと、犬の精神状態のこと。受け入れた飼主さんは努力をしたけれど改善が困難だった場合、ペットのためにも必要な処置でした。

声帯切除には口腔からアプローチする場合と、喉頭切開の方法があります。今回は確実に声を落としたいので、喉頭切開の方を選びました。やや細めの気管チューブを入れて、喉頭腹側を切開します。創口を広げて左右の声帯ヒダを鉗子でつかんで切除するのですが、はっきりと一枚の膜と分かるわけではないので、少しずつ周囲のぴらぴらを切り取ります。やりすぎでもいけないけれど、ぴらぴらが残ると鳴き声が出てしまいます。やや不安を残して縫合します。術後しばらくすると腫れも引き、鳴き声がかすかすになります。自分の声が変わったことに、いったい本人はどう思っているのかな?これも君が幸せに暮らすための試練だから、どうか分かってほしいものです。

退院してからも時々思い起こします『かすかすと鳴いているのかな?もしかしてわん!って鳴てたりして?』と言ったら、院長に『やめてよ~!』と文句言われました。

 

                 

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シンシア動物病院
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