誤食による異物が通過できた一例。

7ヵ月令の小柄な若猫でした。前日に誤食した紐の破片を吐いてから、今朝に至るまで頻回嘔吐したとの事で来院されました。

まだ異物が残っているかどうか?閉塞がないか?の確認のため、造影剤を飲ませてレントゲン撮影をしました。すると途中大量に造影剤を嘔吐してしまい、残った造影剤は2時間後も4時間後も全く胃の中から動いていませんでした。子猫らしい動きもなく、顔つきはげっそりとして口腔粘膜は乾ききっています。これは絶対詰まっていると絶望的になり、飼主さんと相談して翌日試験開腹することになりました。

その日は皮下点滴の治療をして様子を見ることに。夕方試しに流動食をおさらに入れると、ほんの少し興味を示したもののとうてい舐める気にはならないようでした。心配しながら夜遅く様子を伺うと、少し目付きに張りが出てきて指を差し出すとケージの前面に手てきて匂いをかぎます。「何か舐めたりして…」とチュールを差し出すと舐め始めました。少しずつ与えて時間が経っても吐いたりしません。「通過したかな?」もう一度レントゲンを撮ると、まだ胃内に少し残っているものの造影剤は小腸に移動していました。私たちは飛び上がらんばかりに喜びました。

翌朝には造影剤は全て結腸まで移動していました。昨日の様子が噓のように本人は絶好調!ケージの扉によじ登り餌を求めてうるさいくらいに(ごめん)鳴きまくります。さらに翌朝、無事に排便をしました。便を砕いて確認すると、数センチの紐状異物を確認しました。よくぞ通ってくれました、おそらく造影剤で押し流したのでしょう。

異物による腸閉塞が疑われる場合、その開腹手術のタイミングにいつも悩みます。もしかしたら通過できるかもしれない?しかし、長時間放置すれば腸組織が壊死して最悪腹膜炎を起こす場合もあります。今回は自力で排泄できて本当に幸運でしたが、その途中での苦しみは相当なもののようでした。やんちゃ盛りの仔犬・子猫に誤食は多いようです。どうぞ、くれぐれもお気を付けください。

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シンシア動物病院
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