悲しい結末 小さな命

雨も降る夜じゅう鳴き続けた子猫を、その方はようやく保護して動物病院へ連れて来られました。ほんの一月齢位の小さな男の子でした。とにかくノミがすごくて、トリマーの先生と二人がかりでシャンプーして数十匹のノミを丁寧に取り除きました。気持ちよくなったのか少しずつ離乳食を食べ始めました。特に他に怪我も風邪の症状もありません、保護主さんは貰い手を探し、最悪ご自分で飼って下さると言ってくれました。誰もがこの仔の幸せな未来を信じて疑いませんでした。

一晩預かることになり様子を見ていると、夜におしっこが一度も出ていないことに気が付きました。お腹を触ると膨らんだ膀胱があり、排尿口を刺激したり膀胱を圧迫しても尿は出ず、子猫は酷く嫌がります。こんな小さくて尿閉?まさかねと一晩様子見ることにしました。

翌日になっても尿は出ず苦しがているので、膀胱穿刺して採尿すると、みるみる元気になってご飯を食べ始めます。翌日も相変わらず尿が出ず、膀胱穿刺をすること3回。ペニス先端からカテーテルを挿入したくも小さすぎることと先端が潰れている事で断念しました。

保護主さんと相談し、最後の手段として膀胱から水圧を掛けて開通することに挑戦してみることにしました。しかし膀胱からも開通ができず、造影剤を通すと尿道が潰れて造影剤が漏れていることが分かりました。何が原因か全くわかりません。最悪の結果でした。膀胱からカテーテルを通し腹部に出してそこから排尿させる、簡易処置をとりました。おしっこが出ない苦しみから解放された仔猫は、元気に餌も食べ始めましたが、簡易的に入れたカテーテルはいつまでも持つわけではなく緩めばおしっこが腹腔に漏れてしまいます。今後の処置を保護主さんから全面委託され、数日お腹いっぱい食べて遊んで暖かい寝床で眠って可愛がられて、そしてもう苦しまないよう注射で眠らせることになりました。

関わった人皆がこの子の幸せだけを願っていたのに、少しだけ神様を恨みます。

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シンシア動物病院
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